任意後見契約とは

任意後見は、「本人」が判断能力が低下する前(元気なうち)に、自分がそうなったときのために前もって締結する契約です。将来、老齢や病気、けが等により精神上に障害が発生し、判断能力が不十分な状況となった場合に、本人が希望する人(任意後見人)に代理権を与える任意後見契約を結ぶことによって後見事務を行ってもらいます。

契約と効力の発生

公証人が作成する公正証書によって契約を結びます。(任意後見契約法 第3条)
任意後見契約の効力は、家庭裁判所に申し立てた後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から生じます。

任意後見人の代理権

本人が自分の意思で必要と判断し、任意後見契約で委託した事務を処理するために代理権が付与される必要があります。代理権が付与されるには、規定の様式で作成された代理権目録に記載しなければなりません。子の代理権目録に記載されていない事務については任意後見人の事務の範囲外になりますのでご注意ください。

任意後見制度を利用する場合の時間的な考え方

任意後見制度を利用される際、判断能力が低下する前に、元気である今現在から亡くなった後までを想定し、必要な契約を締結したり、遺言を作成したりします。その時期として

元気なとき → 判断能力が低下しているとき → 死亡時 → 死亡後

の4つの時期を想定します。任意後見の類型からそれぞれの時期に必要と思われる契約は以下の通りです。

元気なとき 判断能力が低下しているとき 死亡時 死亡後
見守り契約

財産管理委任契約

任意後見契約 死後事務委任契約 遺言書
任意後見受任者 任意後見受任者 任意後見受任者 相続人又は遺言執行者

 

契約の種類

見守り契約

 例えば一人暮らしの高齢者の方や近くに頼れるご家族がいらっしゃらない方と定期的に連絡や訪問により、ご本人の判断力や周辺環境等に変化がないか等状況を確認し、安心して通常の生活を送っていただけるよう支援する契約です。

 施設等に入所されていれば、施設が変化を把握することが出来ます。しかし一人で生活されている方は支援してくれる方がいないと判断能力の低下や財産管理ができなくなる等の変化に気づいててもらうことができず大きな損害を被ってしまう場合があります。また、定期的な連絡によって、ご本人様の体調の変化や心配事を相談することができます。
※見守り契約は法律で内容が定められているわけではありません。

財産管理委任契約

判断能力が低下する前から、信頼できる人に財産の管理を委任する契約です。
寝たきりであったり、身体が不自由であるためご自分で銀行等に行くのが困難である場合など、判断能力が十分であっても介護・行政庁・医療等事務手続きを含めた「財産管理」を代わりに行ってもらいます。
財産管理委任契約書を作成しておけばその都度委任状を作成する手間が省けたり、金融機関のように本人確認が徹底しているところでも財産管理委任契約書によって本人の意思を表示することが出来ます。(金融機関により異なる場合がございます。)

「生前事務委任契約」と呼ぶ場合もございます。

任意後見の種類について

任意後見契約には3種類の利用方法があります。

将来型
移行型
即効型

死後事務委任契約

 ご自身以外ご家族がなく、身寄りがない方やご家族に迷惑をかけたくない方などが、本人の死後の事務について締結する契約です。事務終了後、相続人や遺言執行者へ引継ぎが行われます。
主な内容として、親族やご友人への通知、死亡診断書の作成依頼・受領、金融機関の対応、墓地等の対応、死亡届の提出、火葬(埋葬)許可証の交付申請・受領、葬儀の手配、病院・施設の明け渡し、財産の保全などがございます。

遺言執行

遺言を残しておいた場合、本人が亡くなった後、遺言に従い財産の分配や所有権の移転など、財産の分配に関する内容を遺言書通り執行します(遺言執行者)。※死後事務委任契約との違いに注意。

※遺言書は契約ではなく、本人の死後の財産処分の指示を公証役場で作成します。ここでは時間の流れを理解していただくうえで掲載しております。